前記事では、依存症になりやすい人の3つの特徴をお話しました。
では、自分が、または親しい家族が「依存症かもしれない」と思った時にどうすればいいのか?
大切なことを5ポイントでまとめます!
ちなみに私がこんなに依存症を学ぶようになったのは、不倫問題がきっかけでした。
◆こんなに夫のことが気になる私は「共依存(自分以外の人間にハマること)かも??」
◆泣きながら謝るくせに不倫を繰り返す夫は「セックス依存症かも??」
◆(自分の人生を振り返る中で)私ってもしかしてアルコール依存症なのかも??」
そんな悩みを抱くようになったからなんです。
結論から言うと、依存症というのは(他の先進国と比べ)
日本ではまだまだ研究が遅れている部分であり
自分のこともよくわからないのに、他人(私の場合は夫)のことを結論付けるのは難しい。
けれど、依存症からの回復のステップに大切なことは、「(不倫という)心の傷の回復」からのステップにもすごく役に立つことに気づきました。
だからこそ、依存症からの回復5ポイントを語ります!!
①客観的知識を持つ
これがとにかく大事!!!
「誠意があればやめられるはず」「本気で反省していればやめられる」などと精神論で片付けようとするのが最も危険です。
「禁煙も医者にいこう」なんてCMも流れるようになりましたが、依存症は精神論でなんとかなるものではありません(それで治るなら軽度または依存症ではない)
精神論に頼ろうとするのは、効果がないだけでなく、むしろ悪いこと。
「また依存してしまった」と周りからも、自分自身からも自分を責める=悪循環=ストレスから、また依存に逃げる
そんな負のループが強固になるだけ。
だからこそ、依存に関する本を読んだり、医学的なサイトを見たり、客観的知識を得るのが大切です。
②自分は無力であると認める
アメリカ発祥のAAというアルコール依存症のミーティングで毎回使われる、回復への12のステップ。
お国柄、宗教的な要素が強いので、日本人には馴染みにくいかもしれませんが。
が、かなり大事なことが語られています。
AA 12のステップはこちら
(ちなみにこの12ステップは、他の依存症グループでも幅広く使われています。
アルコール、の部分をそれぞれの対象に変えて読まれているものです)
私が思う、特に大事なステップが
1.自分は無力であると認める、という箇所。
自分の努力でなんとかしようと生きてきた人には屈辱的とも思われるかもしれません。
が、依存症に陥った人間にとって、それを自分の力で克服することは難しい。
①ともかぶりますが、自分の力でなんとかしようとすることで、
なんとかできなかった時に自分を責めて罪悪感という悪循環になる。
いいんです、無力で。
これからいくらでも立ち直れるんです。
だから、頼っていいんです。
一人で頑張らなくていいのです。
まずは、自分が無力であるということを受け入れる勇気。
ここは12ステップの中では最も大事ではないかと私は思っています。
③信頼できる相談者を見つける
無力であるからこそ、信頼できる人と出会っていくことが大事。
AA(アルコール依存症者のグループ)では、依存症に悩む人間同士が自分の思いを語り合っています。日本のAAのサイトはこちら
このような、何かの問題に悩む人達の集まりを「自助グループ」と言われます。
欧米では多種にわたって開かれている。
同じ経験をした人間たちが、対等な立場で、匿名で、安心して心のうちを語れる場。
日本でも自助グループは広がりつつ有りますが、
(私は不倫問題の自助グループでの出会いが、とても大事な財産でした)
安心・安全に語れる場は色んな場面で大切だなあと思っています。
依存症者は心のうちに「恥の意識(依存をやめられない自分を恥じる気持ち)」が強いからこそ、自分を隠し孤独になりがち。
それが問題を悪化させるので、自分が無力である勇気をもてたならば、
次なるステップは、信頼できる人に出会う勇気です。
自助グループへの参加も一つですが、
他には専門のお医者さんや、カウンセラーさんが安心です。
(不倫問題にしてもそうですが、身近な人よりも第三者の方がおすすめです。身近な素人は言いたいこというだけで、余計相談している人が傷ついたり、その後の関係性がギクシャクするというストレスが増えたりしがち)
④やめ続ける難しさに立ち向かう
ハートネットのサイトには書かれています。
(アディクション=依存)
実は、アディクションの当事者や、治療・支援に関わる人たちの間では、「やめることは簡単だが、やめ続けることは難しい」とよく言われます。いったんやめることができても、また元のパターンに戻ってしまう「再発」が非常に多いのです。いったいなぜなのでしょうか?
出典:これって依存症? NHKハートネット
やめることは簡単だが、やめ続けることが難しい
これは真実です。
酒でもギャンブルでもその他諸々、一定時期辞めるのは比較的たやすい。
問題はその後の長い人生。
うまくいかなかったり、ストレスを抱えた時に、依存に逃げこまずに生きていけるか?
薬物や性犯罪は再犯率の高さが問題になっていますが、
再犯つまり繰り返してしまうのは、依存全般に共通することだと思います。
薬物で逮捕された、元歌のお兄さん杉田あきひろさんの一言は重い。
「覚せい剤を一度知ってしまった脳は、普通の人の脳とは違ったものになってしまっている」と話す杉田さん。
(中略)
一度使った人間は、目の前に出されたら使ってしまうと思う、それくらい気持ちいい、怖いもの。
“明日は使ってしまうかもしれないが、まず今日は使うのをやめよう”。
僕たちは一生、死ぬまでそうやって生きるしかない」。
端から見れば「そんな甘いこというなよ」と思われるかもしれませんが、
やめ続ける難しさを知っている当事者だからこその言葉でしょう。
やめ続けるために絶対に必要なのは、自分の生き方の見直し。
どんなときにストレスを感じ、どんなときに依存に逃げ込みたくなるのか。
それ以外のストレス発散方法を学ぶことだったり、
そもそもストレスを感じやすい環境を見直すことだったり、
なによりも自分の中の考え方や物の見方のクセを知って、必要ないものは手放す勇気だったり。
依存に逃げ込みたくなる自分の生き方をまるごと見直さない限り、完全に依存から離れることは難しい。
けれど人生を見なおした先には必ずより、豊かな人生が待っています。
と、ここは抽象的な話になりましたが、
最後のポイントは、やめ続けるために一番大切なこと。
⑤自分の経験を語っていくこと
先にあげた自助グループに集まる人は様々。
何より、グループに参加した年数が人それぞれです。
何年も通って、依存からほぼ抜けだしている人。
依存のまっただ中で苦しみにある人。
参加回数の浅い、まだ苦しみの中にいる人にとって経験者の話は何よりも貴重。
ですが、経験者にとっても、自分の話を語り続けることが「やめ続ける」原動力になっていくのです。
先の杉田あきひろさんも、番組をこう締めくくりました。
僕たち経験者が薬物によって何を失ったか、どんなクズになってしまったかを生の声で伝えないといけない。一時の快楽のその先には破綻が待っていることを伝えて、薬物に出会ってしまった時に”ノー”と言える理由を若い世代が用意できるようにしないといけない」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
出典 「一瞬で脳からよだれが出る感じで、鳥肌が…」元”歌のお兄さん”杉田あきひろが背負う覚せい剤の恐怖
以上、いかがでしたでしょうか。
依存症と言っても特別な疾患などではなく、誰にでも起こりうること。
依存にハマることは苦しい
抜け出ることはもっと苦しい。
だからこそ、依存症というものを客観的に知っておくことは大事だと思うんです。
そして依存症から抜け出す、回復というステップ。
一時的な苦しみはあっても、必ずその先により自由で楽な人生がある。
それも同時に知っておくべきだと思います。
私も「自分自身のために」そういったことを表現していきたいですし、
苦しみにある方のお力になれる活動をしていきたいなと思っています。
長々と読んでくださり、ありがとうございます!
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