アドラー心理学・幸福になるために必要な「共同体感覚」とは

アドラー心理学「課題の分離」(タフラブ)シリーズの重要追記です!

人間関係の悩みを解決する切り札、課題の分離(タフラブ)についての過去記事はこちら
★不倫は誰の問題?人間関係を解決する、課題の分離=タフラブとは
★課題の分離は相手への愛。信田さよ子「タフラブという快刀」に学ぶ①
★課題の分離を実践するために必要な知恵と具体例。タフラブという快刀に学ぶ②

前回のシリーズでは、心理士信田さよ子さんの『タフラブという快刀』を参考に、課題の分離を「愛」という側面から考えていきました。

タフに生きるための解決策ということでラスト記事で紹介した解決策は
2017年7月6日 寂しさと共に生きる知恵とは。信田さよ子「タフラブという快刀」に学ぶ③

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寂しさとともに生きる知恵

でした。

情報があふれる現代において、人はそもそも本能的に「寂しさ」を抱えている存在だということ知り、受け入れて、それとともに生きるという知恵はものすごく大事なことだと思います。

が、「幸せな人生」を目的とした時に、なんかもっとはっきりわかりやすくて、実践しやすい回答はないものかなあともやもやしていたのですが・・・

ありました!!
アドラー心理学、と謳いながら、すっかり抜けていたアドラーの一番大事な教え!!!

バイブル「嫌われる勇気」にも明記されていましたーー(何度も読んだつもりでも、抜けているもんですね・・・)

人間関係は、課題を分離したところで終わるものではありません。むしろ課題を分離することは、対人関係の出発点です。

そう、タフな愛を持って「課題を分離する」。これはあくまでスタート地点であるとアドラーはいうのです。


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では、ゴールは?

アドラー心理学で最も重要なキーワード

共同体感覚

です。
共同体感覚とは、本書にはこう書かれています。

自己への執着(self interest)を他者への関心(social interest)に切り替え、共同体感覚を持てるようになること。そこで必要になるのが「自己受容」と「他者信頼」、そして「他者貢献」の3つになります。

自己に執着するのではなく、受容し、
他者を信頼し、関心を持ち、
そして他者に貢献する・・・

頭では理解しても、実践するには難しいほどレベルが高い悟りの境地のようにも思えます。

まずは共同体感覚=他者貢献、という認識で良いのではないかと思います。

人が自由を選ぼうとしたとき、道に迷うことは当然あるでしょう。そこでアドラー心理学では、自由なる人生の大きな指針として「導きの星」というものを掲げます。

(中略)

(青年)その星はどこにあるのですか

(哲人)他者貢献です。

(中略)

(哲人)あなたがどんな刹那を送っていようと、たとえあなたを嫌う人がいようと、「他者に貢献するのだ」という導きの星さえ見失わなければ、迷うことはないし、何をしてもいい。嫌われる人には嫌われ、自由に生きてかまわない。

最近、母から聞いたエピソード。
母が毎朝犬を散歩していると、一人で散歩しているおじいさんとよくすれ違う。
ある時、ふとしたことで挨拶を交わしたら、その日以降、会うたびにドッグフードをくれるようになった、と。

そのおじいさんは犬を飼っていないし、ドッグフードは新品。
聞けば散歩がてらスーパーでわざわざ買っているとのこと。

「毎回こんなにいただくわけにはいかない。こちらとしても申し訳なくて気が重くなってしまうのでありがたいけど、今後はやめてほしい」
と母は正直に話したそうなのですが、おじいさんの反論。

「この歳になって、お金が多少は余っていても使いみちがない。誰かに喜んでもらえたら、それが自分の一番の幸せだから

うーーん、それもわかるが、でも・・・
ということで、母は散歩ルートを変えてしまったそうです。

この対応例もいろいろ考える余地はあると思うのですが、ここはさておき。
おじいさんの発言は、ひとつの真理だと思うのです。

「誰かに喜んでもらえたら、それが自分の幸せ」と・・・。

まさに、他者貢献こそが、幸せな人生の「導きの星」というのは納得です。

(ちなみにアドラー心理学では、子供に「えらいね」と上から褒めることを勧めません。これは上下関係になるから。いいことをした時は、横(対等)の関係として『ありがとう』と感謝を述べることを勧めます。ありがとう、は子供に貢献感、つまり自分の価値を感じてもらう言葉なのです)

他者貢献・・・
仕事をすることはもちろん、他者への貢献
家事・育児をすることも、貢献

ただしアドラー心理学では、こうした「行動」を超えて、何もしなくても、できなかったとしても、「存在していること」こそそのものが貢献なのだ、としています。

難しい考えにも聞こえますが、生まれたばかりの赤ちゃんなんてまさに典型ですね。
泣いても喚いても、いるだけで幸せをもたらすという。。。

先月亡くなったアナウンサーの小林麻央さん。闘病中で自由に動けなくなっても、ご家族はもちろん世界中の人に幸せと勇気をもたらしました。

それは彼女自身が「愛」に満ちた存在だったからではないでしょうか。
ご本人のお言葉にもありますよね、「愛に満ちた人生だった」と・・・。

逆に、仕事をしていても家事・育児をしていても、「イヤイヤ」「怒りながら」やっていたら、それは他者貢献とは言いにくい。

まとめると、

大それたことをしなくても
「目の前の相手が、ちょっとでもいい気分になれるように」
そんな思いやりや、感謝の気持ちを持って「他者」に貢献しようと考えることが、ひいては自分の幸せな人生に繋がる。
自分と他者は敵ではなく仲間なんだ、と信頼できる。
それが「共同体感覚」なのでしょう。

共同体感覚は奥深い(私自身もまだまだできていない)ので、また改めてひも解いていこうと思いますが、今日は、大事なポイントをひとつだけ。

それは
スタートが「課題の分離」⇒ゴールが「共同体感覚」

という順番

課題の分離ができていない状態で、「相手のため」「社会のため」に動こうとすると、相手の問題に巻き込まれたり、自分を見失ったりしてしまう。
問題が起きた時には、まず課題をしっかり切り分ける。

その上で、自分自身が他者のために「できること」を導きの星としていく。それがひいては貢献感につながり、自由で幸せな人生をもたらすのだ、ということです。

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