ブラック企業の思い出シリーズ第3弾。
本日のテーマは「長時間労働」
テーマ①ブラック企業はバカ・アホ・罵声は当たり前。事例①パワハラ編
テーマ②ブラック企業の常識は世間の非常識!実例②モラハラ・不倫編
ブラック企業と言えば=(イコール)で結び付けられる公式のように、「長時間労働」はセットで出てくるキーワード。
ただ勤務時間が長い、というだけではなく、そこには「自分の意思ではないけれど働かざるを得ない」というのがポイントだと思います。
(その仕事が本当に好きで、極めたくて自らの意思で仕事をする・・・っていう場合は、長時間「労働」とは言わないですよね。匠を目指す職人さんとか。)
長時間労働・・・
暑くなると思い出す、忘れられない一夜のこと書かせてください・・・。
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夏と言えば!!
色鮮やかなキーワードが浮かぶ方は幸せ者かもw
学習塾業界で夏と言えば、夏期講習。
生徒を受験に受からせるという意味でも、いやそれ以上に「稼ぐ」という意味でも、一番の繁忙期。講習料金ってたいがいの塾は(通常授業と)別料金ですからね。
社員にとっては塾業界で勤める数少ない利点は「始業時間が遅い」こと。
が、夏期講習中はそのメリットさえなくなります。(生徒が学校休みだから朝から授業が始まる)
私が勤めていたブラック塾も例外ではありません。
というか、平時でさえ長時間労働なのに、そこに単純に朝からの授業が加わる始末。
授業が増えれば家での準備も増えるわけで、どう乗り越えていた、いや、どうごまかしてしのいでいたのか?思い出せないほどテンパってた気がします。
そんな季節に訪れた、忘れられないワン・ナイト。
夏期講習のど真ん中の8月。
授業をしながら黒板の前でふと睡魔に襲われるような日々の中、励みとするのは「次の休日」のみ。
明日を乗り越えれば10日ぶり?2週間ぶり?の休みだ―――!!
と誰もが内心、自らを鼓舞していたはず。
そんな、休日の2日前の帰り際、上司から発せられた一言は・・・
「みんな!明日の夜は、なんと!!!!!
社長が別荘に招待してくださるそうです!!!
毎日頑張っている皆さんを、社長がねぎらってくださるとのこと!!!」
・・・
一瞬の沈黙をおいて、社内は突如
「わーーーーー!!やったーーー!ありがとうございますぅぅぅ~!!」
歓喜の声に包まれる。
本当に喜んでいるのは何人いたのだろう。
少なくとも私と同期メンバーと、数少ない本音を話せる先輩は、内心、めちゃめちゃ落ち込んでいた。
あれだけ楽しみにしていた(寝るだけとはいえw)休日が、潰される・・・
オアシスをひたすら目指して砂漠を歩き続けた旅人が、目の前でそのオアシスが蜃気楼だったことに気づく。
ショックで思わずラクダから落下。
そのくらいのがっかり度ですよ。
とはいえ、上からの命令が絶対の会社において、NOという余白は1ミリもありません。
仕方なく翌日は、パジャマやらなにやらのお泊りセットを用意して、朝から授業に向かう始末でした。
そして迎えた夜。
朝8時から20時までの授業を終えた身に降りかかる指示の嵐。
夕食やら、翌朝の朝食やら、(社長と愛人への)献上品やら、買い出しの指令がおります。
それらを忠実にスムーズにこなし、車で1時間強の「社長の別荘」に集合とのこと。
何がねぎらいだよ!
夕飯作るのうちらじゃん!!
ちなみに買い出しの時に、上司からこっそり与えられたアドバイス。
「会の前には、『カフェイン』を2本飲んでおくとよい」
その頃の私は、疲れたらリポビタンDくらいの知識しかありませんでしたが、眠気覚まし効果を期待するなら、リポDなんてこども用風邪シロップ程度の効果らしい。
つまり、本気で眠気と戦いたければ、薬局で、マジな「カフェイン」を買ってこいと。
しかも2本、と。
(リポDでさえ、一日一本って書いてありますけど・・・)
私は居眠りですでに失敗済みですので(過去記事にて→①)素直にカフェインを2本購入しました。
で、会場である別荘に入る前、車内で2本、飲み干しておきました。
別荘に入るや否や、女性社員は調理場へ直行。
暑い日に誰が決めたのか、メニューは「鍋」
とにかく大量の野菜や魚や肉を刻んで準備は終了。
夜の23時を回ったころに、マンセー社長が登場。
クーラーのきいた部屋で、鍋パーティの始まり。
新人なんて、酒を注いだり鍋の具をよそったり、食べた気はしませんでしたけどね。
でも、夕食タイムは平和に終了しました。
美味しかったねー
今日も頑張ったねー
お疲れ様ー♪
と終わるはずはなく、ここからがメインの時間。
時計の針はとうに0時を回っています。
そう、夕食が終わったころからマンセー社長が語りだす。
そこでようやく私は、上司のアドバイスの意味を知りました。
「カフェイン飲んでおいてよかったーーーーーー」
朝から授業&授業、買い出し、調理、そして夕食。
3日分くらいの労働を一気に終えた気分の体にむち打って、聞かねばならぬは社長の戯言。
朦朧とした中で、とにかくまぶただけは閉じるまい、と己に言い聞かせていました。
そんな中、延々と続く社長の話。ほとんどが右から左へ流れていきました。
一つだけ覚えているのは、「ありがた爺さん」とやらの物語。
貧乏だけど、なんでも「ありがたい・ありがたい」っていうのが口癖の爺さんがいて。
雨漏りしても「家があって、ありがたい」
野菜が不作でも「食べられるコメがあって、ありがたい」
最愛の婆さんが死んでも「近所のみんなが心配してくれて、ありがたい」
この「ありがた爺さん」はみんなに愛され、幸せに暮らしたそうな・・・
めでたしめでたし。
・・・うん。
大事だよね、感謝って。
ありがとう、って気持ちを持ち続けるって大事だよね。
感謝をたくさんする人に、幸せは寄ってくるよね。
うん、そのとおり。
・・・でもね、
カフェイン2本飲んでまで、聞かなきゃいけないんですかね???
ちなみにカフェインの効果というのは絶大で、寒さよりも暑さよりも眠気に弱い私ですが、ずっと目を開けていられましたよー!
脳は完全に眠っているのに、目は開けられて、目の前の景色が映像のように流れていくという・・・
あの不思議な感覚は今でも覚えています。
カフェインってすごいな~
効果あるんだな~
って一人(脳内で)感動していたら、いきなり社長が私の手を握ってきました。
なんで手を握られたのか全くわかりません。
何かの話の「たとえ」で使われたような雰囲気でしたが(話聞いてないので理解できずw)
まあ、とにかく社長(はげ頭の、タコ八郎似のおっさん)が私の手を握り、さすっていたという事実が発生しました。
そのことは自分の中で、単なる事実。
それ以上の感情も感覚もないのですが、後日女性上司たちから
「けむりクン、社長に手を握られてたよねー。いいなあ!あなたってほんと運がいいのね~。よかったわね~」
とやたら羨ましがられたことについては、いまだに不思議でなりません。
彼女たちは本当に「社長に手を握られること」に価値を感じていたのか?
おべっかを使っていたとすれば何のために?昇格のため?
何が真実で、何が虚構なのか。
あの世界にいた頃は、その境目が本当にわからなかった。
一つだけ自分の中で決めていたことは
「私は自分の本心を忘れないでいよう」ということだけ。
とはいえ私は超のつく小心者、心が小さい者なので、表面上は叱られない程度のマンセーを演じてましたけどね。
いつからか、私は自らのことを
精神の風俗嬢
と認識するようになりました。
身体を売るのも、精神(心)を売るのも同じじゃないかあ~~~
昭和の演歌調で思っていたわけであります。
と、話はそれましたが、別荘での一夜の続き。
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深夜2時を過ぎた頃、ようやく解放されて眠りにつきました。
で翌朝7時前には起きて、朝食の支度→朝食→テニス、と宴は続きました。
夏期講習中のオアシスである休日は、こうして幕を閉じました。
振り返っての気づき。
ブラック企業で勤め続ける最大の条件は
身体が強いこと
これに尽きますね・・・。
あの別荘での会、ほとんどの社員はカフェインをあおって参加していたはず。
昨今、カフェイン中毒で亡くなるニュースも耳にしますが、とりあえずみんな平然としてましたYO!
ブラック企業に必要なのは、1に体力、2に体力、と思って間違いはないでしょう。
そしてブラック企業の定義は「長時間労働」と言えるでしょう。
上記の一夜は、行動だけ見れば娯楽です。
鍋を囲んで、酒を飲んで、テニスをして・・・。
でも私にとってはそれは労働以上に過酷なものでした。
眠気を押し殺し、女中のようにおもてなしを強制され、気づいたら手を握られて、苦手な球技に強制参加・・・。
逃げたくても逃げられない、いや、逃げようとしない、
私は立派に精神の風俗嬢を勤めあげていたのでした。
もちろん、通常の勤務時間も長く、仕事量は半端なく多かったです。
国の定めた法律さえも取り締まれない、長時間労働の恒常化
それがブラック企業の要素だと、定義してまとめたいと思います。
長々と読んでくださりありがとうございましたー!