誰しも少なからず抱えているであろう怒りや恨みという感情。
自分を傷つけた相手はもちろん、時にそれは自分自身に対しても向けられる。
そんな感情を手放すコツ―ゆるし、についての考察です。
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私が誰かに最も怒りを感じたとき―
まず思い出すのは夫の不倫が発覚した時です。
怒り・恨み・復讐・・・
そんな気持ちが渦巻く中、相談した女性カウンセラーさん(今は廃業)が、
「焦る必要はないですが、最終的には『ゆるし』を学びましょう」
そう言葉をかけてくれたものでした。
数年が経ち、当時の記憶や感情さえ薄らいでいますが、これだけ平穏な日常を送れるのは
どこかに『ゆるし』という目標が私の心にあったからだと思っています。
『ゆるし』を学ぶのに最も参考になった本から、その言葉をご紹介します。
終末医療(ホスピス含む)の先駆者である、エリザベス・キューブラー・ロスとデーヴィッド・ケスラーによる共著。
人生で学ぶべきレッスンとして14章が設けられています。
どれも素晴らしい示唆に富む内容なのですが、今回は
13章「許しのレッスン」からの学びをご紹介。
人が「自分を傷つけた」誰かを許そうと考えた場合でも様々な障害がある。
なかでも大きな障害は二つある、としています。
(障害)一つ目:許せば自分を傷つけた行為を認めることになってしまうのではないかという感情
これに対して本書では
しかし許しとは相手に「私を傷つけてもいいのよ」ということではない。
許しとは、恨みをいだいていると不幸な人生を送ることになると気づいて、自分自身のために、 うけた傷を手放すことである。(中略)許しとは相手を好き放題にさせておくことではない。(中略)
自分を傷つけたときの相手は決して満足な状態ではなかったのだということにおもいいたった瞬間に、 許す気持ちが生まれる。
相手は過ちを犯したが、それは相手の本来の状態ではなかった。
人間である以上、相手も過ちを犯す。
そのことで相手も自分と同じように傷ついている。
そう、許しは相手のためではなく、「自分のため」であること。
自分が癒され、平穏に生きるための「勇気ある選択」であること。この考え方はとても納得がいくものでした。
また夫の不倫問題をきっかけに、そのことについて夫とはたくさん話し合った時期がありました。
夫婦でカウンセリングを受けたことも。
「自分ばかり好きなことをして!!」
そう思えた夫でしたが、話し合いを深める中で彼自身も大きな苦悩を抱えていたことを知りました。
(それが免罪符になる、というつもりはありませんが)
私が不倫問題の相談にのる立場になって感じたのは
不倫を「する」側にも実は苦しみや生きづらさを抱えているケースは多い、という事実です。
「自分を傷つけたときの相手は決して満足な状態ではなかった」というのは、どんなケースにも当てはまることかもしれません。
(障害)二つ目:報復してやりたいという欲望
復讐してやりたい、という気持ちですね。
分かりますー!
不倫発覚直後は「不倫・復讐」なんていうキーワードでよく検索していたなー
これに対しても本書では
たとえ報復をとげたとしても、一時的な満足しか得られない。報復という低次元な行為をした自分にたいして、後で罪悪感を持つことになる。自分を傷つけた人に自分の苦痛をおもい知らせるためにとった攻撃的な行為が、けっきょくはまた自分を傷つける。
としています。
報復・復讐という行為は「怒り」から発する行動なので、何をしたとしても本当の平穏は生まれないでしょう。
私は、結局復讐となるような行動はしませんでしたが、そのおかげで
(傷にしがみつく時間が)短く済んだ =心の回復が進んだ
と感じています。
もちろん、自分の尊厳のために必要な「戦うべき」シーンも人生にはあります。
けれどただ「怒り」を発散させるのが目的の復讐であれば
「しない」という選択も、自分を大事にするための勇気ある行動と言えるでしょう。
本書では、ナチスによるユダヤ人大虐殺から生き延びたエリザベートという女性の言葉が紹介されています。
家族全員が収容所で殺された中、唯一生き残った彼女の言葉は重みがある。
多くの日本人には「神」という言葉はしっくりこないかもしれませんが、
「仏さま」とか、「おてんとさま」とか、「宇宙」のように
何か「自分を超えた大きなもの」というイメージで読んでみてください。
(※あの人たち=ナチス側の人間を指しています)
あの人たちがしたことを許したわけではありません。
許しは私の手にではなく、神の御手にあって、わたしはその神を信じようとしたのです。
あの人たちの運命を決めるのはわたしの立場ではありませんでした。
何か・誰かを許せない、そんなときにこそ思い出したいこと。
「相手を裁くのは自分の仕事ではない」
自分の仕事は、自分の幸せを選択する勇気を持つことだけ。
☆今日のまとめ☆
◎許しとは「自分の」人生を癒すために選び取る行為であること。
◎悪いことをした人であれば、いつか何かに「裁かれる」時は来ます。
裁くのはあなたの仕事ではないのです。
自分の幸せだけを選択していきましょう。
コメント
検索で辿り着いたブログ興味深く読ませていただきました。当方は64歳男性です。当記事の一部をブログネタとさせていただきましたがご主人の問題も乗り越えて、明るく強く頑張っておられる姿に感じ入りました。ライフ・レッスンは私も読んでみようと思いました。
谷岡さま
素敵なメッセージをいただきながら、お返事が遅れて申し訳ありません。
温かいコメントをいただき、感激しております。
ブログでも取り上げてくださったとは、ありがとうございます!
ライフ・レッスンは私にとってバイブルのような一冊となっております。
谷岡さまのメッセージに励まされ、ブログでもまたご紹介していきたいと思いました!
ありがとうございました!!